先月は月のくのところで
名残の月のつれなく見えて 平井
つれない月は恋の呼び出しと見まして次の句、初折の裏の7句目は恋の句をおねがいいたしました。
7句 風も木も街も私もやさしくて 佐藤
何もかもが優しい気分に輝いて見える。よっぽど幸せな恋なんでしょうねー。
8句 秘密の話ついついもらし 平井
やさしさについほだされて秘密を洩らしたくなる。親密さの深まりを感じます。
9句 過ぎし日の夢見て目覚む朝三時 中江
朝三時がリアルです。まだまだ暗いけれど、かといって夜とも言えない微妙な時間。過ぎし日のことと言っても完全に思い切れていないような雰囲気ですね。
さて、次は春の句をお願いしましょう。その次は花の定座ですから、植物は避けてくださいね。
10句 はだれ峯低く人増えて来し 笹次
雪に覆われて白く輝いていた時に比べてまだらな残雪ののこる斑雪の山は低いような身近なような感じがします。気候が良くなって外を出歩く人も増える。雪国の者にはよくわかる気分です。
11句花の定座 県境の峠超えれば花の山 佐藤
うーん、前句に「峰」があるのに峠、そして山も出してしまった。実は山中温泉から峠を越えたところに枝垂桜の公園があって、その話などしていたもので、つい。
12句 奥の細道春日傘征く 平井
春日傘をさして奥の細道を意気揚々とめぐる人。俳人ですね、きっと。
さて、来月はいよいよ名残に入ります。