かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

歌仙「石蕗あかり」の巻名残表

山頭火のお軸を床の間に 冬の間なかなか集まることが出来なかったので、久しぶりに顔を合わせての歌仙です。前回は花の座に 地震の地に生きて桜の咲き初むる 笹次 元旦の大地震でした。瓦礫に帰した土地にも花は咲き出だす。付けは 蜃気楼へと鳥の飛び立つ …

芭蕉の館にて三浦雅士氏長谷川櫂氏の歌仙満尾会談

歌仙の満尾を寿いで,三浦雅士氏、長谷川櫂氏の対談を、近くでうかがえて楽しかったですね。 三浦氏は「虚構と人生」みたいな、いわばプルースト的な命題から始まって、多様な話題を悍馬に例えるなら、それぞれの馬に目いっぱい鞭をくれながら,何頭も繋いだ…

初歌仙

歌仙会場のお正月の床 雪が舞う中で、今年の歌仙の会を始めました。ここ山中温泉「芭蕉の館」でも地震の被害は特になかったそうです。それでも、能登に親戚や知人のいらっしゃる方も多く、参加できない方もいらっしゃいました。 それでも、新しい年が、困難…

十一月の歌仙「石蕗あかり」の巻

まだ句が、書き込まれる前の、下絵。この上にどんな展開が、あるのでしょうか。 発句は 庭園の石蕗のあかりのひとところ 佐藤 この日の会場、芭蕉の館の玄関には石蕗の花がいけてありました。ぱっと明るい黄色が目に飛び込みます。さて、脇は 瀬音眠らず山眠…

新涼の風の巻十月

会場の「芭蕉の館」のお庭。やや色づき始めた風情です。さて、先月は名残の表の、冬の月がでたところまででした。もう一句冬の句をお願いしましょう。 霜夜の鶴の遠ざかりゆく 平井 霜夜の鶴とは凍鶴と同様、寒さに耐える姿の鶴で、ひとかたまりの季語だそう…

歌仙「新涼の風の巻」九月

文台に乗せたけど筆を忘れて 朝夕はすずしくなってきました。暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。 句を書き記すべく、巻紙に絵も描き添えたのに、筆を忘れちゃったんですよねー。 さて、初折の第九句目は 空見上ぐ紙縒で作る指輪して 佐藤 結婚への…

歌仙「新涼」の巻はじまりました。

パイナップル・リリー いつも珍しいお花に出会える芭蕉の館エントランスホール。なるほど名前の通りパイナップルっぽくもありユリ科のようでもありますね。 残暑も厳しい昨今ですが、新たな歌仙がはじまりました。 今回はこれまでのような出勝ち ではなく膝…

「菊たけなは」の巻満尾!

長谷川櫂先生に発句をいただいた「菊たけなはの巻」・ 大雪や休館日、風邪など、お休みの月もあって、ずいぶん長くかかりましたが、ついに名残の裏に入りました。 一句目 香聴くは闇聞くことと思いをり 橋本 ちょっと重いので、軽めにサラリと行きたい。 二…

菊たけなはの巻五月

芭蕉の館薄暑 「菊たけなは」の巻も名残の表の中ほどとなりました。前回は名残の裏の五句め、 夕づきて子らのいづくへかと失せて 笹次 というところまででした、そろそろまた恋を出してほしいとお願いしました。 ベンチの隅に紙コップ二個 元田 子供たちの失…

歌仙「菊たけなは」の巻

砂利道に咲くすみれ。可憐! 二月は大雪、三月は休日にあたるなどで、久しぶりの歌仙です。名残の表に入りました。花の定座から行く春を吉野に惜しんだ後、まずは無季の長句 ぼろ市に転がりてをり涙壺 元田 涙壺は独特の形をした壺ですね。オリエントのもの…

歌仙「菊たけなは」の巻

あけましておめでとうございます。ことしも楽しく歌仙を巻いて行きたいものです。 会場の床の間。お正月らしくおめでたいしつらいです。 前回は初折の裏七句目まででした。 時雨るやお借り申すぞ寺庇 正藤 という蕪村の句のような味わいの一句でした。さて、…

芭蕉の館連句会十一月「菊たけなはの巻」

紅葉の盛りの芭蕉の館。今回は初折の裏、三句めからです。春の句 薄氷の幾何学模様昨夜の風 正藤 薄氷(うすらひ)は初春の季語です。夜の間水辺の氷が風向きによって厚みを増したりゆるんだり、亀裂が入ったりするのでしょうね。まだまだ寒いけれど薄くなっ…

芭蕉の館歌仙十月「菊たけなは」の巻

新しい歌仙がはじまります。今回は先月、山中温泉においでになった俳人長谷川櫂氏に、発句をいただいております。台風のせいで一か月遅くなってしまいました。 来あはせて菊たけなはの山湯かな 櫂 芭蕉の「山中や菊は手折らぬ湯の匂ひ」を踏まえた、土地への…

八月の歌仙 「山眠るの巻」満尾

八月はお盆休みを避けて今日23日となりました。山中温泉がテレビに放映されたとかで今日は観光客らしい方々が大勢あるいていらっしゃいました。連句会の会場の芭蕉の館も見学の方が次々お見えでした。 さて、そんな中で、いよいよ名残の裏、残り五句です。…

七月の歌仙「山眠るの巻」

梅雨の戻りのような雨催うのお天気の中、連衆がそろって、七月の歌仙を巻きました。 名残の表の最後。十句めからです。先月は秋の句 九句目 峡の日の銀杏紅葉に移り来し 中江 という秋の句で終わっていましたので、無季の句を一つ挟んで月の定座へ、向おうか…

六月の歌仙「山眠るの巻」

今日の連句会に発表された句句。これだけの投句から選ぶんですから、面白くないわけがない! さて、名残の表の中ほどです。そろそろ「恋」もまた欲しいころ。 第5句 夕暮れに口笛吹いて罪と罰 元田 合図の口笛を吹いて誘い出す夕暮れの恋人は、ラスコーリニ…

五月の歌仙「山眠る」の巻

お床の花 こでまりと白糸草 枝ぶりも葉っぱも、とてもきれいなこでまりですね。感心しました。白糸草も寂しげな花ですがほのかな香りがたたずまいによく似合って味わい深い。 さて、今月はいよいよ名残の表にはいります。先月は「奥の細道春日傘征く」と旅へ…

四月の歌仙 山眠るの巻

会場の「芭蕉の館」の廊下。広間で歌仙を巻いています。 先月は月のくのところで 名残の月のつれなく見えて 平井 つれない月は恋の呼び出しと見まして次の句、初折の裏の7句目は恋の句をおねがいいたしました。 7句 風も木も街も私もやさしくて 佐藤 何も…

歌仙「山眠る」の巻

芭蕉の館 お庭の雪吊がもう窮屈そう。 一月二月と大雪やコロナのせいでお休みしておりましたが久しぶりでここ芭蕉の館に集って歌仙のつづきをすることができました。 初折のうらにはいったところでした。初折表は春の句が二句でしたので、せっかくの春めいた…

十二月の歌仙「山眠るの巻」

パンデミックに明け暮れた今年もはや月末、新しい歌仙が始まります。 何かと忙しい冬の日に集まった風狂の友。当季の立句を所望いたしました。 音はみな谺となりて山眠る 正藤 枯れて明るくなった山を谺がさまよう。不思議に明るい虚無の響き。付けが難しそ…

十一月の歌仙「ほととぎすの巻」満尾

あやとり橋から、鶴仙渓の紅葉を見下ろす 会場の芭蕉の館の庭の紅葉が驚くほど美しい日でした。ほととぎすの巻も、ついに名残の裏。 一句目は無季の句 磯釣の沖の巨船の動かざる 笹次 二句目も無季で、とおねがいしました。 籠軽くして歩みのおもし 正藤 キ…

山道のツリフネソウ 歌仙ほととぎすの巻十月は、 名残の表の八句めからです今回は月もすでにでてしまったのでどうなりますでしょう 七句め 残菊の光あつめしひとところ 佐藤 この美しい句につけるには、と考えたのですが 静けさ募る湖畔の日暮れ 正藤 の句を…

九月の歌仙「ほととぎすの巻」名残の表

先月で初折も終わり名残へはいります。山中温泉という土地柄、山の景色が多いので、気分を変えるようにお願いしました。無季の長句で。 さざ波を潟にのこして暮れなづむ 正藤 さっそく汀の景色。季語を入れずに自然詠は結構難しい。つぎはちょっと忙しいけれ…

歌仙 ほととぎすの巻八月

先月は初折の裏五句まででした。 句会場隣席したき君を待つ 正藤 今回はしばらく無季の恋句が続きます。 声の軽やか飛石を来る 笹次 茶室でなくとも綺麗な御庭の飛び石を軽やかにやってくる明るい声が、まず耳に入ってくる。ドキドキですね。 大杉に廻す腕の…

七月の歌仙

写真は伊吹麝香草です。季節違ってますけど。麝香の匂い、かなぁ? さて今月は初折の裏に入りました。 古道ゆくもののふの夢ふくらみて 平井 熊野古道とか歩いてみたいものです。王子を巡って往時をしのぶ。ハハハ 風吹き渡る梢の音に 中江 古道を辿ると風邪…

六月の歌仙 ほととぎすの巻

六月の歌六月の歌仙 今月から、また新たに歌仙を巻き始めます。 写真は、当季の発句をお願いして、ものの十五分くらいで集まった句、句、句、です。 すごいでしょう!大量の上に質も高い。 発句なので、丈高く、と、いうことで、、 ほととぎすしきり湯の町目…

五月の歌仙

さて、水澄やの巻もとうとう名残の裏となりました。一句目は先月に戴いております。 鳥獣懐に抱き山眠る 正藤 さて二句目は 水ひそやかに凍滝の裏 佐藤 素晴らしい付けですね。凍った滝の裏にはひそやかに水が流れているのだ。前句の、冬の最中、深い慈愛に…

四月の歌仙水澄むや の巻

岩やつで 楚々とした風情の山草ですね 三密を避けて連句の会今月は名残の表の終わり九句目から やや早めですが秋の月を所望しました。 そこで集まった月の句がかくのごとし。 大量! 十分かそこらでこれほどの句句が! どれを選ぼうか贅沢に悩みましたが、こ…

三月の歌仙 水澄むや の巻

芭蕉の館 玄関吹抜け ようやく春めいてきた山中温泉。名残の表。二句目に恋の呼び出しがありましたのでうけてたちましょう。 緑陰に誘ひ話の続きなど 中江 さりげないけれどなかなか。枝影の揺れる中に「お話の続きが…」などと誘う。なかなかの恋の巧者の句…

二月の歌仙 水澄むやの巻

一月はお休みでしたが、今月は歌仙を続けます。ソーシャルデイスタンスちゃんととってます。隣室にはお雛様。外は雪。 さて、今回は十句め、花の定座を前に春の月をだしていただきましょう。 増穂が浦の月のおぼろに 笹次 増穂が浦は桜貝で有名な美しい海岸…