かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

初歌仙

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芭蕉の館で初歌仙

加賀市山中温泉芭蕉の館での初歌仙。清書したのでここに載せておきます。平成26年の事です。山中温泉への挨拶に始まっています。.

歌仙湯の香の巻

山中や湯の香変わらぬ青葉闇  おるか

古き館につどう夏服     上出

木地を挽く若き女の腕細く  笠原

雨戸を揺らす川風の音  平井

中腹に五重塔を月はるる  笹次

カラコロカラと蓮の実の声  平井

初折裏

黄昏の欅並木に鵯群れて   笠原

マナーモードに間髪入れず   上出

瀬戸内の思い出の島巡りつつ  新津保

汀に寄せし貝殻拾う    上出

初霰踏みし仕草も幼めき   紺谷

ミケも喜ぶ炬燵を出して  上出

夜もすがら遺愛の軸を掛け替えし  笹次

みつる月影雲間に隠れ    新津保

庭下駄の鼻緒の湿り虫しぐれ    紺谷

松茸狩りに出かけてみれば   西

花吹雪団十郎に成りきって  上出

蝶の屍を拾う人無し  西

名残表

ようように日は傾きて遍路道  橋

上方からの便り届きて  平井

吹けば飛ぶ木橋道明が淵繋ぐ  上出【道明が淵は山中鶴仙渓の名所)

夕立ちありと駆けこむ酒屋  上出

夏惜しむからくり時計みあげつつ   佐藤

昭和の男次々逝きし  上出

砂嵐地上に銃火絶ゆるなく  橋

みゅきの歌も心懐かし   平井

ウキウキと新幹線の話など  中江

フレアスカート風におどるよ  紺谷

鉄塔にひっかかりたる冬の月  橋

ひざしにゆるむ雪吊の縄   中江

名残裏

迷い騎士袋小路もまた楽し  佐藤

ピアノソナタの窓より聞こえ  上出

山笑うひらがな多き孫の文   中江

病院の脇老木の白さくら    新津保

木漏れ日おどる芭蕉の小径  松浦

 

初めてに歌仙なので読み返すとややぎこちなさもありますね。

すべて出勝ち、句を十分ほどでその場で作っているので土地の風物や時事などもなつかしい。北陸新幹線の開通の年でした。