かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

六月の歌仙 ほととぎすの巻

六月の歌六月の歌仙

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今月から、また新たに歌仙を巻き始めます。

写真は、当季の発句をお願いして、ものの十五分くらいで集まった句、句、句、です。

すごいでしょう!大量の上に質も高い。

発句なので、丈高く、と、いうことで、、

 

ほととぎすしきり湯の町目覚めたる  笹次

 

 土地への挨拶がこめられて、さわやかにして格調もあり発句らしい発句です。

今年は鳥の声がにぎやかです。鷹の声もしますし、アオバズク、そして何年かぶりに赤ショウビンの声も聴きました。さて、脇は。

 

山中節を緑陰に聞く  佐藤

 

そう、この地は山中温泉。渓谷沿いに旅館の軒を連ねる北陸屈指の温泉地です。山中節、以前こちらの会場で女の方が歌っているのを、漏れ聞いたことがあります。綺麗なお声でいらっしゃいました。つぎは無季の句をおねがいしましょう。

 

奥座敷おはぐろ壺の座り居り  平井

 

おはぐろ壺は、お隣の福井県越前焼がゆうめいですね。鉄漿を本当に入れていたのか知りませんが、小ぶりでなかなかいい形の壺です。野草の花を生けると似合いそう。早々に秋へ、

 

虫の音すだく単線の駅  正藤

 

秘境駅に虫の音を聞きに行く。風流もきわまれり、という旅ですね。つぎは月の定座です。秋の月。今年の名月はどこか旅に出て眺められるかな。旅に出たいなー。

 

地酒下げ兄の来たりし良夜なる  中江

 

いいですね。旅でなくとも良夜に訪れる人がいる。友でも恋人でもなく、兄であるのがひとしお渋い。人生経験を積んだ兄弟姉妹という印象です。

さて初折の表の御仕舞は、

 

村芝居での思ひ出話  平井

 

兄弟で家族内の思い出話ばかりだと、なんとなく煮詰まってくる気もしますが、地域全体の思い出だと、懐かしさも、そこそこ風通しが良い。

さらさら初折表も巻き終わり、来月は初折の裏にはいります。