先月で初折も終わり名残へはいります。山中温泉という土地柄、山の景色が多いので、気分を変えるようにお願いしました。無季の長句で。
さざ波を潟にのこして暮れなづむ 正藤
さっそく汀の景色。季語を入れずに自然詠は結構難しい。つぎはちょっと忙しいけれど、夏の句を。
四谷怪談暑さを忘れ 平井
夏といえば怪談と思いますが、怪談は季語ではないんですってね。もう一句夏の長句をお願いしました。
大花火闇の余白を使ひ切る 正藤
上手いですね。まいりますね。
こういう名吟を五分ほどで作れるって、凄すぎる。連句は普通の俳句会と違って、句を作っておくことができないので、本当に、即吟なんですよ。驚き入りますね。
こういう句の後に、どう付けたらよいか、困りますよね。
ワイン片手に話のはずむ 中江
こういうさらりとした句が必要なんです。
さて、なぜこんなに急いで季節を進めてきたかというと、この日は九月二十一日、八年ぶりの仲秋の満月だったんです。前夜の月も良かった、と会場ではなしが弾みましたので、月の定座にはかなり早いけれど、せっかくなので、秋の月をおねがいしました。
松風に月読の影すみわたり 平井
枝影のくっきり落ちているのって風情あります。木漏れの月光。
一度振り向き蛇穴に入る 佐藤
冬眠のために穴にはいる蛇の気持ちって、どんなものでしょう。ほっとしているのか、眠くてたまらないのか、冬を無事越せるかどうか、心配だったりするのかな。振り向く姿に思わず同情しますね。蛇好きではないんですけど。
さて、名残の表も、もう半分。来月はどんな展開になるのでしょう。。