かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

十二月の歌仙「山眠るの巻」

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パンデミックに明け暮れた今年もはや月末、新しい歌仙が始まります。

何かと忙しい冬の日に集まった風狂の友。当季の立句を所望いたしました。

 

音はみな谺となりて山眠る   正藤

 

枯れて明るくなった山を谺がさまよう。不思議に明るい虚無の響き。付けが難しそうだな…とおもいきや

 

  達磨ストーブでんとかまへて   佐藤

 

上手い!説明するとうるさくなるばかりでしょう。感覚的に味わってください見事な付けです。次は無季の句をお願いしました。

 

 

一つ聞き一つ忘るる一ㇳ日なり  正藤

 

一の字を重ねる趣向もおもしろいけど、季語があったら最後をの五を「小春かな」とかしたいところでいらっしゃったことでしょう。無季所望なんで…すみません。

一日ひとひ、というとき、小さいㇳを入れるのが「ほととぎす」式なんですって。

 

手もちぶさたに水使ひをり   笹次

 

これまた巧みなさらりとした付け。次は春の月をお願いしましょうか。

 

閉館の老舗旅館や月朧   佐藤

 

コロナヴィールスのせいか、歴史ある旅館の廃業もある昨今です。格式ある建物が廃墟になるのは寂しいですね。廃墟好きではあるんですけど。

 

ディナー・ショーへと青木を踏みし   笹次

 

「青き踏む」は春の季語、枯野がようやく青くなってくる、それを楽しみに郊外へ出かけ、草の上を歩む。

閉館となったホテルのディナーショーへ行ったことが御有りなのだそうです。ガーデンパーティーの後に芝生の青を踏んだのでしょうか。かつての華やかな時の思い出。

 

来月は新年ですが、どんな展開になりますでしょう。楽しみです。