パンデミックに明け暮れた今年もはや月末、新しい歌仙が始まります。
何かと忙しい冬の日に集まった風狂の友。当季の立句を所望いたしました。
音はみな谺となりて山眠る 正藤
枯れて明るくなった山を谺がさまよう。不思議に明るい虚無の響き。付けが難しそうだな…とおもいきや
達磨ストーブでんとかまへて 佐藤
上手い!説明するとうるさくなるばかりでしょう。感覚的に味わってください見事な付けです。次は無季の句をお願いしました。
一つ聞き一つ忘るる一ㇳ日なり 正藤
一の字を重ねる趣向もおもしろいけど、季語があったら最後をの五を「小春かな」とかしたいところでいらっしゃったことでしょう。無季所望なんで…すみません。
一日ひとひ、というとき、小さいㇳを入れるのが「ほととぎす」式なんですって。
手もちぶさたに水使ひをり 笹次
これまた巧みなさらりとした付け。次は春の月をお願いしましょうか。
閉館の老舗旅館や月朧 佐藤
コロナヴィールスのせいか、歴史ある旅館の廃業もある昨今です。格式ある建物が廃墟になるのは寂しいですね。廃墟好きではあるんですけど。
ディナー・ショーへと青木を踏みし 笹次
「青き踏む」は春の季語、枯野がようやく青くなってくる、それを楽しみに郊外へ出かけ、草の上を歩む。
閉館となったホテルのディナーショーへ行ったことが御有りなのだそうです。ガーデンパーティーの後に芝生の青を踏んだのでしょうか。かつての華やかな時の思い出。
来月は新年ですが、どんな展開になりますでしょう。楽しみです。