
急に寒くなって、寒がりの私は連句会の部屋に、早くもストーブを入れていただきました。さて、先月は秋の句
揺れてこそコスモスの色風の色 正藤
コスモスは揺れてこそ美しい。その通りです。風の色が見えるという表現も優。共感できます。ただし、良い句の後に付けるのはむずかしい。さて。
銀杏拾ふ仲間となりて 中江
ささやき交わしているかのようなコスモスの景色から、あちらこちらと銀杏を拾う人たちに仲間入りする光景。上手い付けです。二つの光景の明るさや動きが通底していると感じました。秋の句、もう一つおねがいしましょう。
畑仕事即かず離れず秋の蝶 林。
こういうことありますね。何故か蝶が寄ってくること。儚くも哀れ。
畑仕事が、やや説明的かな。
出会いがしらに猫だましされ 平井
面白い!しかし、どういうお友達なんですか!猫だましって!さて次は月の座です。「冬の月」がすでに出ているので「月凍てて」とか「寒月光」とか悩みましたが、連中の皆様のお力をいただいて、
山峡の流れに歪む寒の月 橋
冬の句もう一句おねがいします。
冬ざれ凌ぐ庭師の手入れ 正藤
庭師さんのたゆまぬお手入れで、冬ざれるということなど全くない庭である!とのこと。さすが加賀の庭師さん。
さて、早くも名残の裏に入りました。無季の句を挟みましょうか。
鯉跳ねて飛び石一つ踏みはづし 中江
上手い!庭園池に錦鯉が飼われているのでしょうね。生きる宝石とまで言われる錦鯉が跳ねて、おもわずとびいしをふみはずす。動きがあって面白く、明るさも感じられます。
思ひ出したる夫との用事 佐藤
これまた上手い!ふとした出来事が引き金になって、記憶がよみがえることは、ありますね。天啓がひらめくこともあるのかもしれません。有名なところでは、プルーストの「不揃いの舗石」の逸話でしょう。不揃いの舖石を踏んだとたんにヴェネチアのの思い出といいますか、イメージがまざまざと甦る。いいシーンですよね!
軽やかな表現で、実に上手い付け!
さて来月は名残の裏のその残り。花の定座が待っています。楽しみ!




