かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

芭蕉の館歌仙 雛の家の巻六月

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初折の裏 後半

久しぶりの歌仙です。不要不急といえばこれほど不要不急なものもないでしょう。歌仙を巻くなんてね。

 こちらの歌仙の会では恥ずかしながら捌きのほかに、祐筆、披講と三職兼ねているので、私は結構忙しいんです。あ、絵も描いているので四職かな。

さて初折裏七句目は無季の句をお願いしました。

 

 まさぐりし右ポケットの飴ひとつ  佐藤

正座して月を待っていた人物は外に出て、紅葉など眺め歩いているようでしたのでその流れから頂きました。次は

 

 襟立てながら坂道のぼる  中江

 

やや寂しげに猶も道をたどるようです。季語を入れない七七は難しいもの。そろそろ春にしましょうか。

 

初音して崖の小草のぬれどおし  笹次

 

綺麗な早春の句。はつねと濡れ通しの小草、よくにあっています。

 

笑み交わしつつ春日傘上ぐ   佐藤

 

明るいつけですね。傘に隠していた顔を見せて挨拶しあう。春らしい。さて花の座です。

 車椅子押されて母も花見人  正藤

 

花をながめて今年も春の来たのを喜ぶ。美しい習わしです。いつも家にこもりがちなお母様もそんな賑やかな花見の人々の一人となっている。しみじみとした一句。

 

 下戸にまいらす木の芽田楽  笹次

 

花見といえば田楽。桜吹雪の散りかかる中で戴くのは、風流でもあり、いっそう美味しそうですね。

これで初折裏も終わりです。来月も歌仙の会ができることを祈りつつ。