かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

歌仙「山眠る」の巻

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芭蕉の館 お庭の雪吊がもう窮屈そう。

一月二月と大雪やコロナのせいでお休みしておりましたが久しぶりでここ芭蕉の館に集って歌仙のつづきをすることができました。

初折のうらにはいったところでした。初折表は春の句が二句でしたので、せっかくの春めいた日でしたので春の句をまずは一句足すことにいたしました。

 

隠沼に静寂を返し鴨帰る  正藤

 

   渡り鳥で大賑わいだった沼も北の国に鳥たちの旅だった後はいつもの静寂が戻ってひっそりとしている。一抹の寂しさもあり美しい。

 

  市の瀬用水あふれんばかり  笹次

 

山中から山代温泉のあたりの用水だそうです。全国的にありそうな名前ではありますね。しかし、前句に「沼」があり初折表にも「水」があって、やや水っぽくなってしまいました。次は気分を変えたいところです。

 

大皿に幾何学紋の拡がりて   平井

 

これは古九谷の大皿でしょうね。古九谷の幾何学文様は大胆でモダンで素晴らしい意匠だとおもいます。さて、夏を飛ばして次は秋の句をお願いしましょう。

 

 松手入され甦る庭   正藤

 

大皿は宴の席にもふさわしい器でしょうね。眺めるお庭も手入れの行き届いた古木の松が、永遠の緑を見せている。

 

姉妹しぐさ似て来し秋衣   笹次

 

お着物をお召しになったのでしょうか。普段は宇治の大君と中の君みたいにそれぞれ個性的な姉妹もふとした市議差がそっくりだったりする。ほほえましいです。

 

名残の月のつれなく見えて  平井

 

ふむ、これは恋の呼び出しですね。来月は、恋の連句会となりそうです。