かがなべて

言葉遊びと、毎月の歌仙など

十一月の歌仙 水澄ての巻

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先月は初折の表五句目月の座まででした。

篠笛の静寂を縫ふや冬の月  正藤

 

夜の静寂に嫋嫋と芸子さんの偲び笛。金沢情緒あふれる一句でした。さてそれに続けての句は

 

雪吊始む唐崎の松  佐藤

金沢の景。やや絵ハガキ的ではありますが。雪吊はきれいなものですね。さて、初折の裏へ入ります。

 

別院の門前に立つ蚤の市  笹次

 

特に金沢というわけではないけれど、古都の風景。

 

そぞろ歩きて鳥の声聞く   中井

 

最初は掘り出し物はないかとあちこち歩きまわってみるけれど、いつしか鳥の声などに、耳を澄ましている。気持ちも落ち着いてくるのでしょうね。

さて今回は春を飛ばして夏へ行きます。

 

夏めくや船主集落よろい張り  佐藤

 

「よろい張り」は壁板の張り方の一種だそうです。海の臭いがしそうです。

 

蝉しぐれ果て星の出そろう  正藤

 

夏の終わりの光景。星の瞬き方がものすごく綺麗。

 

今回も前回に続きいつもより選に時間がかかってしまいました。来月は初折の裏もなかほどから。